素人の役者を30分で「できる役者」に変身させる4つの指導法
はじめまして、株式会社シネマドライブのプロデューサー兼演出を担当している「ふるやん」こと古川真也と申します。
動画撮影において、簡単な演技指導をすることは、よくある場面だと思います。
しかし、プロの役者さんじゃない場合、仕上がりがかなり痛い芝居になってしまい、作品そのものが台無しになってしまった、ということもあります。
かといって、プロの役者さんにお願いすると、それなりに費用も発生し、予算的な問題も生じます。
そんなときに、今からお話する4つの指導法を駆使することで、素人の方をまるでプロの役者に変身させることができます。
【目次】
2 「間」を作る
3 動作はシンプルに
4 とにかく褒める!
5 まとめ
1:台詞の前後に心の中での台詞を付ける
素人の役者さんに、「演じる役になりきれ!感情を作れ!」と言ってもできるはずがありません。
そこで、実際の台詞の前後に、その台詞を言う背景となる事柄をこれまた台詞で言ってもらうのです。
例を挙げましょう。
【実際の台詞】
A「どうしたの?」
B「ものもらいができちゃったの・・・」
A「それ、痛いんだよね~、いい病院あるから紹介するわ」
これらの台詞をいきなり「言って下さい」と言っても、棒読みになってしまいます。
そこで、なぜ、この台詞を言うのか、の背景を入れた台詞も一緒に言ってもらいます。
【心の中での台詞があるバージョン】
A「あれ?目がはれてる?/どうしたの?」
B「昨夜から目がおかしくて/ものもらいができちゃったの/困ったなぁ」
A「私も経験あるけど/それ、痛いんだよね~/あっ、そうだ!/いい病院あるから紹介するわ」
こうすることで、感情移入をしやすくなり、自然な演技ができるようになります。
これをリハーサル時に声に出して言ってもらいます。
そして、自然とできるようになってきたら、心の中での台詞を外し、実際の台詞だけ言ってもらいます。
そうすると、いつの間にか実際の台詞にも感情が篭っているのです。
ちなみに、プロの役者さんも、より自然に演じるための工夫として、取り入れている手法でもあります。
ぜひ、一度試してみてください。
2:間を作る
「間」とは、台詞と台詞の間にある、わずかな時間のこと。
この「間」を作ることで、プロっぽく演じることが可能です。
先程の例で言うと、
A「それ、痛いんだよね~ (間) いい病院あるから紹介するわ」
というように、台詞が切れる箇所で一拍置いてもらいます。
そうすることで、棒読み感を緩和することができます。
どうしても上手くできない場合は、
カットを割るのも一つの方法です。
つまり、
A「それ、痛いんだよね~」→引きで撮る。
A「いい病院あるから紹介するわ」→アップで撮る。
というように、撮影方法によって「間」を作る方法もあります。
3:動作をシンプルにする
そもそも、映像作品での「動作」には意味を持たせることがよくあります。
無駄な動きが多いと、視聴者を混乱させます。
動作をシンプルにするために、演出も最小限に抑えましょう。
1つのカットにつき、動作に関する演出は「2個まで」が良いと思います。
例えば、「首をかしげる」と「口をキュッと引き締める」など。
それに「腰に手を当てる」を加えると、途端にぎこちない動作になってしまいます。
その場合は、カットを割りましょう。
4:とにかく褒める!
企業VPの撮影では、社員さんが役者をすることもあります。
その時、社員さんは乗り気でないことが多いです。
「動画になんて出たくないのに、社長の命令だしな~」
そんな社員さんを乗せるのも、演出家の仕事!
上手く出来ても出来ていなくても、とにかく褒める!
「もっとこうして」がある時には、まず、出来ていたところを褒めてから指示をします。
そうすることで、乗り気でなかった素人の方も演じることが段々楽しくなっていくのです。
楽しくなれば、イキイキとした感じが出て、それは画面を通じて視聴者に伝わります。
何よりもまず、演技を楽しんでもらうことが重要です。
5:まとめ
プロの役者さんにお願いすればラクなことも、素人の方相手に演出するのは骨が折れると思う場面もあるかもしれません。ですが、先程の社員さんのように、普段やったことがない役者をできた、というのは良い思い出になることも多いです。映像作品として残るので、記念にもなります。
クオリティ高い映像を作るためにも、素人の方に合わせた指導法をマスターしていきましょう!