おもしろい企画を考える人は何が違う?稼ぐ企画ディレクターが教える、企画の作り方4つのポイント
「さあ、面白い映像を作るゾ!」
となったとしても、当然ながら、いきなり撮影には至りません。
まずは「どんな映像を作るか」を考えなければなりません。
どうせ作るなら、視聴者にインパクトを与えて、深~く記憶に残ってもらいたい。
さらに、その映像が好印象につながり、その映像を見て、行動に移ってくれたりしたら…これはもう最高です!
こうした「面白い映像」を作るには、何はなくとも「面白い企画」が不可欠。
そして、稼ぐ人気の企画ディレクターは「面白い企画」を考える脳を持っています。
面白い映像企画は、どうすれば生まれるのでしょうか。
これには「正解」はありませんが、面白い企画を生み出すための、考え方のコツをお伝えしましょう!
これが分かれば、努力しだいで誰でも、一味違う企画を作ることができますよ。
ポイントは4つです。
- スタート・ウィズ・ホワイ!?目的を定めよう!
- オートマチックプランニング!ストーリーが自然に出来上がる!
(1)ドゥー・ユー・ノウ?PRする商品の強みを知る!
(2)アイ・ラブ・ユー!ターゲットを選定!
(3)ウェアー・イズ・イット?媒体を決めよう!
(4)ワット・キャン・アイ・ゲット?メリットを想像しよう! - ザ・サード・アイ!自信あろうが無かろうが、第三者に観てもらおう!
- チョイスの法則!企画は必ず3つ出す!
- まとめ
1 スタート・ウィズ・ホワイ!?目的を定めよう!
『あなたはなぜ、その映像を作る必要があるのでしょうか?』
まずは、ここをみっちり考えなければなりません。
「この映像で何を伝えたいのか?」
「この映像を観てくれた人に、どうしてほしいのか?」
つまり、映像の根幹となる部分です。これを最初の最初に、しっかりと考えましょう。
これを考えるには、次の「WHY?3項目」が有効です。
- その映像の目的は何か
- なぜ映像でなければならないのか
- その映像を観た人にどうなってほしいのか
たとえば、こんな例を考えてみましょう。あなたは、ある人気飲食店のオーナーです。
人気すぎて、毎日お店は大繁盛!
しかし、ここで問題が…「人手が足りない!」
そこであなたは求人を出しますが、飲食店の求人は倍率が非常に高いッ!
全然応募がありません。
「よしそれなら!」と、求人用のLP(ランディングページ)を作り、そこに映像を載せることにしました。
さて、どんな映像がいいものか…。
はい!この状況で、映像企画を考えてみましょう。
先ほどの「WHY?3項目」に照らし合わせてみます。
- その映像の目的は何か?「人材募集のため」
- なぜ映像でなければならないのか?「職場環境の良さを、視覚的に分かりやすく伝えることができる」
- その映像を見た人にどうなってほしいのか?「多数の方に面接に来てほしい」
これを整理すると、あなたが「なぜ映像を作るのか?」と問われれば、
「人材募集の際に、職場環境の良さを映像で分かりやすく伝えることにより、多数の方に面接に来てほしいため」
というのが答えです。
かなり目的がはっきりしましたね。
このように、動画の目的を明確にするためには、実際は私たち制作スタッフが、お客様にヒアリングを行うことになります。
先ほどの「3項目」にもあたる、次のような内容を、お客様に直接お聞きするのです。
- 動画のターゲットは誰か
- 動画は何に使うのか
- PRしたい商品やサービスの強み
ところが、実際はこれがなかなか大変なんです。
特に、ご自身がPRしたい商品やサービスの強みについては、お客様ご自身がよく分かっておられない、説明できない、というケースは非常に多いです。
「競合他社にはない、貴社の強みとか違いってありますか?」
「いや、そんなん別にないよ。うちは普通、何も他と変わらないよ」
こんなやりとりはしょっちゅうです。
でも、これで「はぁそうですか」と終わってしまっては、動画を作る目的が見えません。
だから、色々な角度から話を振って聞き出そうとトライします。
そうすれば、「あ、そう言われてみれば、ここはちょこっとだけ強いかな」というのが出てくるもの。
強みがないんじゃなくて、強みを自覚されていないだけなんですね。
その強みを、ターゲットに伝わるようにアピールする、というのが動画を作る目的となってきます。
2 オートマチックプランニング!ストーリーが自然に出来上がる!
さあ、目的がはっきりしたところで、具体的に面白い企画を考えていきます。
しかし、ここが一番難しいところ…と思われる方も多いでしょう。
そう、カメラや照明、マイクの使い方は、ある程度説明書を見れば、誰でも使えます。
さらに技術を伸ばそうと思えば、経験を積んだり講習を受講したりして、ぐんぐん伸ばしていけます。
ただ、企画作りって、どうしたらいいの…?
そうなんです。
実は「企画」というものは、いまだにヒラメキ頼みだったり、一部の天才しかできないものと思われています。
数ある動画制作会社でも「企画を出すのが得意です!!」という会社は非常に少ないんです。
でも大丈夫。
あなたにとっておきの方法をお伝えしましょう。
名付けて「オートマチックプランニング」!
その名の通り、
「この通りにすれば、面白い企画・ストーリーを自動的に作ることができますよ~」
というもの。
私たちのこれまでの豊富な経験をもとに編み出した、法則のようなものです。
(1)ドゥー・ユー・ノウ?PRする商品の強みを知る!
動画を作る際、必ず、視聴者(消費者)に見せたい商品やサービスがありますよね。会社をPRする際も同じです。この場合の商品は「会社」です。
その、PRしたい商品やサービスの強みは何か、考えてみるところから始めます。短い尺で見せたい場合は1つに絞る、長尺の映像でも多くて3つまでです。
例えば、電動自転車をPRするというシチュエーションがあったとします。その電動自転車が、他社製品に絶対負けない強みを考えます。「デザイン」とかだと弱いです。だって、デザインの良し悪しって人によって違うので。
この電動自転車の強みが「自動充電」だとしましょう。わざわざ電池を自転車本体から外して充電しなくてもいい。消費者にとって、願ってもいない利便性ですよね。つまり、それは立派な「他社製品に負けない強み」です。
「自動充電」を強みにしようと決めたら、それを動画のコンセプトにします。コンセプトとは、「全体を貫く基本的な観点・考え方」のこと。つまり、その「観点・考え方」が伝わる映像にすれば、PRしたい商品の強みが明確に視聴者に伝わる訳です。
でも、コンセプトといってもピンと来ませんよね。だから、キャッチコピーを考えるんです。「自動充電」というコンセプトが伝わるキャッチコピーって何か?粗削りで良いので、数を出します。
例えば、
「勝手に充電」(そのままです。笑)
「自転車革命」
「神自転車」
「あなたのもとに、どこまでも」(充電なしでどこまでも行けるから)
など。あまり良いのが出ませんね(笑)
でも、数を出して下さい。良し悪し気にせず、20個のキャッチコピーを目標にして下さい。その理由は、後ほど説明します。
(2)アイ・ラブ・ユー!ターゲットを選定!
(1)の作業で、何となく、映像のイメージが沸いてきたのではないでしょうか?
さて、それを振り出しに戻す作業を行います(笑)
今回の商品(サービス)を誰にアピールし、購入などの行動を起こしてもらいたいのか、ターゲットを決めます。
引き続き、電動自転車で例を挙げましょう。
電動自転車のターゲットは、あらゆる世代が考えられると思います。主婦世代、お年寄り世代、学生・・・。ここで注意しなければいけないのは、1つの映像につき、ターゲットは1つに絞って下さい。
なぜか。理由は大きく2つあります。
1つ目は、動画の内容がブレてしまい、結局何が言いたいのか、視聴者に伝わらないからです。
2つ目は、視聴者の興味や集中力は、かなりシビアです。自分に無関係だ、と思った瞬間、TVだとチャンネルを変えられ、YouTubeだとスキップされてしまいます。
なので、ターゲットは絞りましょう。
今回は、ターゲットを「主婦」にします。
ここで少し余談(?)ですが、ペルソナってご存知ですか?
ペルソナとは?
氏名、年齢、性別、居住地、職業、勤務先、年収、家族構成といった定量的なデータだけではなく、その人の生い立ちから現在までの様子、身体的特徴、性格的特徴、人生のゴール、ライフスタイル、価値観、趣味嗜好、消費行動や情報収集行動などの定性的データを含めて、あたかも実在するかのような人物像。
(引用:「ペルソナ」とは?今さら聞けないマーケティング用語をおさらい!)
つまり、ターゲットのモデル(=ペルソナ)を作り上げるということです。実在する人(友達や家族など)でもいいので、「この人!」としっかり思い描けるような詳細な人物像を思い描いて下さい。
そして、その人が好むであろう映像を考えます。
今回のペルソナは、下記のように選定します。
氏名:伊藤 真奈(いとう まな)
年齢:31歳
家族構成:夫(会社員34歳)、長女3歳
職業:カフェ店員(パート)
居住地:大阪府豊中市
居住形態:戸建て
年収:700万(夫婦合計)
交通手段:自転車と公共交通機関(免許はあるが、維持費がかかるので、車を2台持つことはできない)
課題:坂の上に建つ戸建てに住んでいる。夫は車があるので休日の外出には不便しないが、平日の買い出しなどが大変。だが、車を2台持つ程の経済的余裕はない。
ペルソナを選定したら、2つの作業に移ります。
1つ目は、ペルソナを映像の主人公にします。
2つ目は、1で作ったキャッチコピーに戻ります。
「勝手に充電」「自転車革命」「神自転車」「あなたのもとに、どこまでも」・・・
どれが、ペルソナに合うか考えます。
「勝手に充電」は捻りがないし、「神○○」が受ける世代でもない。「あなたのもとに、どこまでも」も何か違う。という風に、取捨選択をしていきます。この為に、キャッチコピーは数を出しておいた方が良いのです。
この中だったら、「自転車革命」がしっくり来るでしょうか。「お掃除革命」など、「○○革命」って主婦は好きそうだし。
そして、キャッチコピーをひとまず決めます。
企画内容を考えるうちに、もっと良いキャッチコピーを思いつけば、是非そちらに変えて下さい。
ただ、今は動画の方向性が必要なので、一旦、「自転車革命」というコピーを決め、動画の内容に入っていきます。
(3)ウェアー・イズ・イット?媒体を決めよう!
ペルソナが決まれば、次は、そのペルソナに合った映像を流す場所(=媒体)を決めます。
テレビCMの特徴は、幅広い世代に届くことです。今回の様に、ターゲットが特化している場合は、高いお金を出してテレビCMで流すより、効果測定をしながら広告費をこまめに投入でき、かつ、ターゲットを絞ってリーチすることができるウェブ配信にした方が良いです。
可能であれば、ターゲット世代のインターネット利用状況を調べましょう。
例)30代主婦のインターネット利用状況
スマートフォン6割、PC2割、タブレット2割
SNSは、instagram、YouTubeに次いで、FB、LINEが多い。
今回は、主婦の利用率が最も高いinstagramとYouTubeで、動画を配信することにします。
そして、それぞれのSNS媒体の特徴を考えます。
instagram→基本音なし。どんどんスクロールしていくので、目に留まる工夫が必要。
YouTube→音あり。スキップされないように、冒頭で興味を引く工夫が必要。
媒体の特徴を知ることで、動画の内容も自然と考えやすくなります。
(4)ワット・キャン・アイ・ゲット?メリットを想像しよう!
最後に、PR商品(サービス)を手に入れることで、ターゲットが得られるメリットを想像します。
今回のケースだったら、主人公の伊藤さん(ペルソナ)が電動自転車を手に入れることで、生活がどのように変わるのか、想像してみます。
今までは、自転車のカゴにスーパーで買った大量の荷物を詰め、坂道を自転車を押しながら汗だくで上がっていたことでしょう。それが、電動自転車、しかも、子育てや家事で多忙な主婦にありがたい自動充電の機能がついた電動自転車を手に入れることで、どの様に変わるのか。
想像は容易いですよね。
そのメリットを必ず映像の中に入れて下さい。具体的には、映像の最後でPR商品(サービス)を手に入れた「後」の状態を、映像の冒頭で手に入れる「前」の状態を描きます。
Before→Afterのストーリーが進むことで、メリットが分かりやすく伝わります。世にある動画広告を見てもらったら、その様な構成の映像が多いことに気付くでしょう。
そして、最後に、キャッチコピーで締めくくります。
さらに、(3)で決めた媒体ごとに映像を考えます。
instagramでは音なしでも目に留まる工夫が必要なので、冒頭に「自転車革命」と目を引くコピーを持ってくるなどのアイデアが出てきます。
YouTubeでは、動画を最後まで見てもらうための感情移入を喚起させる為、自転車に買い物袋をいっぱい積んで坂道を上がる主人公を冒頭で見せます。それを見て、ターゲットである主婦世代が「主婦業って大変だよね」「分かる分かる」と共感することができれば、成功です。
こうして、大まかではありますが、動画の構成案ができました!
【主人公】
伊藤 真菜
【構成】
坂の上に住む伊藤さん。日々の買い出しに難儀している。
夫にも八つ当たりしてしまい、夫婦喧嘩に発展したりと生活にも支障が・・・。
↓
ある日、電動自転車が家に届く。差出人は不明。
↓
電動自転車を手に入れたことで生活は一変!自動充電だから、多忙な主婦にもピッタリ!
↓
電動自転車をプレゼントしてくれたのは、夫だったと知る伊藤さん。
電動自転車があることで、家庭も円満に。
【キャッチコピー】
自転車革命
3 ザ・サード・アイ!自信あろうが無かろうが、第三者に観てもらおう!
「サード・アイ」とは「第三者の目」ということ。
2で作った企画をブラッシュアップするために、自分だけで見ているのでなく、第三者にも見てもらいましょう。
私たちシネマドライブでも、「企画を考えた時は、必ず他の誰かに見せようね」と取り決めています。
情報を共有することで、その企画を作った人にない視点からの意見やアイデアがもらえます。
そこからインスピレーションを受けて、企画をもっと良くできるかもしれません。
一人の人間が得られる情報量には限りがあります。
私たちは動画制作のプロですし、たくさんの動画を見てきてはいますが、それでも、世の全ての動画を見ることはできません。
それこそ私が「こんな企画、考えてんねん」と誰かに言った時に「それやったら、あのCMに似てるね」と私の全然知らないCMを引き合いに出されて、「あ、それ面白いね!」となっていくこともあるわけです。
他にも、私が「この企画めっちゃおもろいやろな」と思っていたのが、他の人には「全然…」というのもあります。
これも貴重な意見で、もしかしたら、クライアントにもそう評価されるかもしれない。
「それやったら、こっちがいいか」と防御策をとることもできるわけです。
4 チョイスの法則!企画は必ず3つ出す
人は1つ差し出されると断るが、3つ差し出されると、そのうちの1つを選ぶ心理を持っているというチョイスの法則があります。
私たちが実践しているのは、お客様に企画を出すときは、「必ず3案出す」ということです。
「ABC」「松竹梅」という感じですね。
いくら自信のある企画であったとしても、その1案だけをボンと出したのでは、お客様もなかなか選びにくいものです。イエスかノーの二択になってしまうのは不安でしょう。
それが3つなら、その中から選びやすい。それに1つよりも3つ出されたほうが「やってくれはった感」ありますよね!
もちろん3つ提案する時も、こちらとしては「これがオススメ」というのはあります。でも、こちらの思惑通りに選ばれることもあれば、そうならないことも多々あります。
それはそれでイイんです。
制作費用も、なるべく3パターン出します。
これは200万、これは100万、これは60万…といった感じ。
逆に最初から「○○万円」と予算が決まっている場合は、その予算内でできる3案を作ります。
「えーっ、企画1つ作るのも大変なのに、3つもそんなに作れるの?」
その心配はごもっともです。
そこは、私たちがこれまで数多くの企画提案をしてきた経験が生きます。
だいたい3案のうち2つは、過去の似たような事例をもとに作っていて、よく使うパターンというものを、自分たちの中で持っているんです。
とにかく企画をたくさん作ってきましたので、その数は私たちの財産ですね。
作ってきた企画は、通ったものも通らなかったものもストックしています。
それを分析して、ケースに応じて活用しているというわけです。
まとめ
映像制作は、企画作りから始まります。面白い映像を作るためには、まずは面白い企画がなければなりません。
そこで、面白い企画を生み出すための考え方のコツを4つにまとめました。
・「何を伝えたいのか」「どうなってほしいのか」という目的を定める
・ストーリー作りの「コツ」をつかむ
・作った企画は必ず第三者に見てもらう
・企画提案は複数出す。理想は3つ。
以上、「おもしろい企画を考える人は何が違う?稼ぐ企画ディレクターが教える、企画の作り方4つのポイント」についてでした。