CMにも映画にも使える!超簡単シナリオの書き方③上手いト書き
シナリオとは?
映画やテレビなどの場面構成や人物の動き・セリフなどを書き込んだものをいいます。
映画でもドラマでもCMでも、ストーリー仕立てのものには必ずシナリオが存在します。
役者さんはそれを元に演技を作り、セリフも前もって覚えて、撮影に臨みます。
そんな映像制作には欠かせないシナリオ!
第1弾は、シナリオの概要や書き方について→CMにも映画にも使える!超簡単シナリオの書き方①
第2弾ではセリフについて→CMにも映画にも使える!超簡単シナリオの書き方②魅力的なセリフとは?
それぞれお話しました。
今回は最終弾、ト書き!さぁ、あなたもこれでプロのシナリオライターです!
【目次】
1.ト書きとは
2.ト書きで書くこと
3.ト書きに関する誤り
4.その他の注意点
5.まとめ
1.ト書きとは
「ト書き」とは、人物の動作やそのシーンの状況を具体的に書き記したものを言います。
ト書きは、もともとは歌舞伎用語です。歌舞伎の脚本では、古くから役者の動きや音楽を指定するために、「ト振り向いて」や「トやって来る」のように書かれていたことから、「ト書き」と言うようになりました。
基本的には、現在形で書くというのがルールです。なぜなら、映像の中では現在の状況を指示するものだからです。
過去形で書く場合は、何か作者の意図があると思われます。それについて答えられなければ、現在形にしておきましょう。
2.ト書きで書くこと
ト書きで書くことは、下記の6要素です。
1)一般動作
2)生活動作
3)性格動作
4)関係動作
5)小道具
6)シャレード
詳しく見ていきましょう。
1)一般動作
登場人物の特徴が反映されない、誰がしても同じ動作のことを言います。
編集で一番カットされやすい、重要度が低い動きになります。
例:歩く、走る
2)生活動作
登場人物の年齢や性別が反映されるような動作のことです。
例:美顔パックをしている、ネクタイを緩める
3)性格動作
登場人物のキャラクター(性格や特徴)が透けて見える動きのことです。
例:課長が席を離した隙に、飲みかけのコーヒー缶に唾を垂らす
4)関係動作
登場人物の関係性が分かる動作のことです。
例:(シーン終わり)美紀は、雄二が出て行ったドアを呆然と見つめる→シーン終わりなど、重要な箇所が美紀のト書きで終わっていることから、「美紀が主人公である」ことが分かる。
5)小道具
小道具の指定も、ト書きで書きます。
ただ、何でもかんでも書くわけではありません。あくまでも、物語を押し進めるのに重要な小道具だけ記載します。
例:さびれた部屋に似つかわしくない豪華な壁掛時計→この時計が後の方で出てきて、物語を推し進めなければならない。
6)シャレード
「謎解き」のことです。つまり、「言葉に頼らず、何かに託して表現すること」をシャレードと言います。
映画を観ていて、「あ!あのセリフはこういう意味だったんだ!」と後から合点することがありませんか?あれは、シャレードをうまく使っているからなんです。シャレードは、セリフや小道具、状況設定など、あらゆるものに含ませることができます。
下記の3つの例を見比べてみましょう。
例1:女は、男のカップに黙って砂糖を2つ入れる→親密な仲であることが分かる。
例2:女は男に聞く。女「砂糖、2個で良かったよね?」→デートを数回重ねてはいるが、まだそこまで深い仲ではない。
例3:女は男に聞く。女「砂糖、入れましょうか?」→初めてのデート。
以上が、ト書きで書いてもいい6要素です。
3.ト書きに関する誤り
ト書きを書く上で、下記6点には注意しましょう。
1)過剰ト書き
2)過少ト書き
3)無声映画ト書き
4)心理描写ト書き
5)省略ト書き
6)理由なしの行動
1)過剰ト書き
その字の通り、不要な描写が多く、書き過ぎたト書きです。
映画は、「省略の芸術」と言われています。物語に関係ない不要な描写は、どんなに気に入っていてもどんどん削除しましょう!
2)過少ト書き
1とは逆、情報が少なすぎるト書きのことです。
初見の方が読んでも認識が違うものにならないよう、客観的な視点を持って書くことが大事です。
3)無声映画ト書き
セリフをト書きで書くことを言います。
口に出して喋ることは全てセリフとして書きましょう。
溜息も、『太郎「(溜息をつき)・・・」』とセリフで書いた方が良いです。
4)心理描写ト書き
「悲しむ」や「喜ぶ」などの心理描写はト書きで書きません。
それが視覚的な動作としてどう現れるかを思考を巡らして考えましょう。
5)省略ト書き
「姉と妹が、部屋の何かを整理している」の「何か」など、視覚的にイメージできないものを言います。
ト書きは、全て視覚的にイメージできるものでないといけません。
6)理由なしの行動
物語に関係ない行動は、どんなに面白い動きであろうと書きません。
シナリオに書く一言一句に意味や意図がないといけません。
4.その他の注意点
上記の他に気を付けるべき注意点です。
・句読点の位置は、読者の読みやすいように配慮する。
・ト書きでは、方言を使わない。
・ト書きに登場人物の紹介がなく、突然セリフが始まるのはNG。
・「と言う」や「と答える」は書かない。
5.まとめ
全3回にてお伝えしてきたシナリオの書き方、いかがでしたでしょうか?
ルール的なことを中心にお伝えしてきたので、堅苦しかったかもしれません。
シナリオの世界というのは、答えがありません。完成稿でも、後から考えれば、「もっとああしておけばよかった」「ここが気になる」など、いくらでも出てきます。
大事なことは、「日々の人間観察」と「とにかく書くこと」だと思っています。(そういう私が、一番出来ていなかったりするのですが・・・)
優れたシナリオを書けるように、日々精進していきましょう!