動画撮影の基本!初めての人にでもできる絵コンテの書き方
唐突ですが、「絵コンテ」って、知ってますか?
絵コンテというのは、広告動画や映画、アニメ、テレビドラマなどの「設計図」にあたるものです。
あの、4コマ漫画みたいなコマ割りが左側にあって、その右に説明文が書いてある、アレです!
皆さんもご覧になったことは一度はあるかと思います。
今回はこの絵コンテの書き方についてご説明します。
【目次】
1:絵コンテを作る目的とは
まず絵コンテを作る目的について。
1つは、最初クライアントに企画提案する時にお見せするものです。
この時は4コマとか6コマとかの簡単な絵コンテになります。
次に、実際に撮影するにあたって、映像制作するスタッフと、クライアントとの意思共有です。
監督の頭の中にある案を、スタッフやクライアントに「こういう感じでやりますよ」というのを知ってもらうために作ります。
特に制作スタッフには、これからどんな動画を作ろうとしているのかの意思統一をしなければなりませんので。
もう1つは、絵コンテを作ることによって、自分自身の中で「どういった動画を作ろうか」というのが整理されていくということです。
これも、とても大切なことだと思います。
2:絵コンテの書き方・3つの法則
絵コンテの書き方ですが、基本的には「起承転結」または「序破急」の構成で書きます。
「起承転結」は、ご存じの人も多いかと思いますが…
起:何かが起こります。
承:それが盛り上がります。
転:事がガラッと変わります。
結:終わり
「序破急」も、意味はだいたい「起承転結」と同じです。
まあ、4分割か3分割かの違いですかね。
そういえば、エヴァンゲリオンの映画の3部構成は「序・破・Q」でしたね。
また、絵コンテの書き方には、いくつか「法則」があります。
次にご紹介する3つの法則を織り交ぜて書いていけば、自然と分かりやすい絵コンテになりますよ!
(1)時系列の法則
基本的に、広告動画の絵コンテは時系列で書いていきます。
これはストーリー作りでも同じことが言えます。
いきなり回想シーンに入るとか、そういうふうにはあまり書かないですね。
(2)引きから寄りの法則
「引き」というのは、撮影するシーン全体を広く映すカットです。
外の風景とか、部屋の中とかですね。
「寄り」というのは、あるものに接近して映すカットです。
言葉通り「寄って」撮るということですね。
物語のカット割りは、この「引き」から「寄り」の順番で書いていくと、まあ間違いはないものになります。
だから撮影の時は、どういったシーンでも、この「引き」と「寄り」を必ず撮影しておくんです。
そうすると現場でも迷わないし、絵コンテも必要ない。
例えば、3人の登場人物がマンションのある一室で話をしているシーンを撮影するとします。
この時、まず外からマンションの「引き」の絵を撮影します。
次に、部屋の室内全体の「引き」。
次に3人全員が入っている「寄り」。
そして、3人ひとりひとりの「寄り」。
こんなふうに、どんどんクローズアップしていくわけですね。
(3)アクション・リアクションの法則
これは名前の通りなんですが、
「登場人物が何かをする」→「別の登場人物がそれに反応する」
という「アクション」と「リアクション」を、交互に書いていくというものです。
例えばこの動画の冒頭だと、こんな感じですね。
アクション:先輩が話す
リアクション:私が答える
アクション:私が「今日からお世話になります」
リアクション:リアクション
こういったアクション・リアクションを繰り返して、絵コンテができていくわけです。
3:撮影現場では、絵コンテにこだわりすぎない!
と、ここまで「絵コンテの書き方」について説明してきたわけですが…
実は、撮影に絶対絵コンテが必要かというと、そうでもなかったりします。
というのは、「絵コンテに縛られてしまう」ということもあるんですね。
上にも書いた通り、細かい絵コンテを作るのは、クライアントに動画のイメージを持ってもらうためです。
動画の流れはもちろん絵コンテに沿って撮っていくんですけど、でも実際の現場にあたって、そこにあるものの方がいいものできる、というのもあるんです。
実際に撮影現場に入ったら、まあ絵コンテのようにはいかないもの。
だからあまり縛られるといけない。
「この通りにはならないよ」と思ってやるくらいでOKです!
4:実践!実際に書いてみよう!
(1)絵コンテのフォーマットを準備する。
私は、いつも6コマの絵コンテを使っています。理由としては、一番見やすいからです。あくまでも設計図なので、現場の流れで絵コンテにない画を撮ることはよくあります。ごちゃごちゃ書いても見づらいので、ポイントのみ絵コンテには記載するようにします。
(2)頭の中になる絵を画像にする。
次に、先ほどのフォーマットの『画面/絵』の欄に、画像を挿入していきます。イメージしている頭の中の絵を画像化するのです。
例えば、主婦にインタビューする映像を作る場合、子供と遊んでいるカットを撮りたい時は、下記のような画像を。
マンションのPR映像で、マンション外観を撮りたい場合は、下記のような画像を。
一目で、「こういう絵が必要なんだな」と分かる画像であることが重要です。
基本的に画像は、Googleの画像検索で出て来たものを使いますが、他にも著作権フリーの画像などをダウンロードできるお役立ちサイトがあるので、シェアします。
Photo AC
https://www.photo-ac.com/
Pixabay
https://pixabay.com/
Pixta
https://pixta.jp/
購入前は画像の上にロゴが記載されていますが、絵コンテの段階ではどんな絵が必要か分かれば良いので、購入する必要はありません。
ネット上で画像が見つからない場合や絵の数が多い場合は、手書きで書いた方が良い場合もあります。絵が上手い知人がいるといいですね!
(3)文章を書いていく。
画像を埋めることができたら、フォーマットの右側、『内容&セリフ』の欄に、画像の説明を書いていきます。
この画像の説明は、「主婦、子供と遊ぶ」。
この画像は、「マンション外観」ですね。
他にも、この絵にナレーションをかぶせる場合は、『ナレーション(以下、N)「当マンションは・・・」』など、ナレーションの内容も記載します。その後のカットは、毎回『ナレーション』と書くと長いので、『N』でOKです。
セリフがある場合も同様です。
上の写真で、主婦がセリフを言う場合、『主婦「上手でちゅね~」』など、名前+「セリフの内容」と記載します。名前のすぐ後にカギ括弧が続くとセリフだと分かるので、『セリフ』とわざわざ書く必要はありません。
(4)秒数を記載する。
フォーマットの右側の『時間』に、各カットに大体どれくらいの時間を要するのか秒数を記載します。TVCMなど秒数に厳しい制限がある案件については、フレームレートまで記載します。
フレームレートとは?
動画は静止画の集まりです。静止画を何枚も何枚も撮って、連続して見せることで動いているように見える、これが動画です。そして、1秒間の動画で見せる静止画の枚数(コマ数)をフレームレートといいます。単位は、「FPS」(frames per second)で、「コマ/秒」を表します。29.97fpsが一般的なので、29コマでまた0コマに戻る、という認識でいいと思います。
秒数に関しては、編集の際に変わることがよくありますので、事前にクライアントに伝えておいた方が無難です。
(5)その他
シーン/カット
忘れず記載しましょう。
シーンが変わる際はシーン番号を、カット番号は順番に1、2、3・・・と続いていきます。
ちなみに、シーンは場所が変わる時、カットはカメラ位置が変わる時と覚えれば分かりやすいと思います。
音声を別録りする撮影時には、カチンコを入れますが、カチンコにこのシーン番号とカット番号を記載します。編集マンが混乱しないためにもシーン番号とカット番号の記載を癖づけましょう。
合計時間
合計時間も忘れず記載しましょう。秒数を合計し、最終的に予定秒数になるようにします。
ページ番号
こちらも忘れず記載しましょう。撮影では、絵コンテ(を印刷した紙)がバラバラになることがよくあります。ページ数を記載しておくことで、混乱を避けることができます。
5:絵コンテの種類
絵コンテは、特にフォーマットが決まっている訳ではありません。要は、どんな絵を撮るのかのイメージができれば良いのです。弊社で作っている絵コンテの事例を3種類紹介しますので、参考にして下さい。
(1)画像版
ネットから画像をダウンロードし、貼り付けたバージョンです。
(2)手描き版
ネットでぴったりの画像が見つからなかった場合は、手描きで対応します。
(3)イラレ版
さらにクオリティを上げたい場合は、手描きで描いたものをパソコンに取り込み、イラストレータで加工します。
6:まとめ
動画制作の中で、絵コンテ作りはとても大事です。それはクライアントに対しても、スタッフや自分自身に対しても、です。絵コンテを書くにはいくつかコツもありますので、起承転結を意識して、しっかりと絵コンテを書けるようになってください。
以上、「動画撮影の基本!初めての人にでもできる絵コンテの書き方」についてでした。